- 幸福の種 -


女の子には夢がある
大きくなったらお父さんの
後を継いで立派な宿屋の案内人
旅人の疲れを癒やす

女の子の最初のお客は
旅から旅の迷い人
張り切って街中を周り
親切に振る舞った

旅人は初めてもう少しだけ
この街にいたいと思った
とても優しい暖かい国だから


約束の時はあまりに
突然訪れた旅立ち
教会は若い花嫁
投げた種を拾って
女の子にあげた

明日が来ないと知っていても
夢見る小さな女の子
ただひとつ気がかりなのは
旅人のこれからがずっと幸せである事

だってそれはあなたが最初で最後の大事なお客様だから


女の子には夢があった
叶わないとわかっていても
父さんとお母さんの優しさを受けて
必死に笑っていた
心から笑っていた


旅立ちの日、女の子に
貰った手紙には
旅人さんこの種はわたしは
必要ないわあなたが持っていて

わたしは今日までとてもとてもしあわせだったから


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